睡眠中のピンクノイズで記憶力が改善

記憶と睡眠は密接な関係にあります。寝ることで記憶が固定されるメカニズムの研究が進む一方、睡眠中に刺激を与えることで、記憶力を改善する研究が行われています。今回は「音刺激」と記憶に関する研究を、ご紹介します。

睡眠が浅くなるから記憶力も低下する

2017年、アメリカのPapalambros博士らのグループは、睡眠中の音刺激が高齢者の記憶力に与える影響について調べ、発表しました。睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、ノンレム睡眠のほうが、脳がより深く休んでいると考えられています。特に、寝始めた頃に現れるノンレム睡眠期には、さらに脳の活動が低下する「徐波睡眠」期があります。年を取るにつれて徐波睡眠は短くなり、80歳代では全くなくなるといわれます。多くの人が年をとるにつれて自然に記憶力が低下することから、徐波睡眠と記憶は無関係ではないと考えられています。

昨今、睡眠中に刺激を与えることで、睡眠の質をコントロールする研究が進んでいます。若者を対象にした実験では、ある刺激を睡眠中に与えると徐波睡眠が長くなり、記憶が強固になることが知られています。今回の実験には、60歳以上の健常者13人(平均年齢75歳)が参加しました。それぞれ二回ずつ睡眠中に器具をつけてもらいます。二回のうちどちらかで、徐波睡眠にあわせて脳に音刺激を与えます。もう一回は対照実験で、何も刺激は与えません。どちらが対照実験かは被験者にはわかりません。それぞれ睡眠に入る前と起床後に、記憶テストを行ってもらい、音刺激の効果を調べました。
睡眠中のピンクノイズで記憶力が改善
株式会社イノベイジ