「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償 眠りの借金は寿命を縮め、肥満にもつながる

新年度が始まるにあたって、気持ちも新たに仕事や日々の生活をスタートする人も多いこの時期。しかし、「心機一転、フレッシュな気分で頑張ろう」と気合を入れても、睡眠が足りていなければ脳も体もベストコンディションからは遠く、思うような結果を得られない日々が続くことも。
「日本人は睡眠偏差値が極めて低い」というデータもあるほど、実は私たちの「睡眠環境」は劣悪にあります。睡眠時間が足りないとどんなことが起きるのか――。『スタンフォード式 最高の睡眠』の著者で、スタンフォード大学医学部教授・同大学睡眠生体リズム研究所の所長を務める西野精治氏は、睡眠不足の危険性に警鐘を鳴らします。

私は「睡眠研究の総本山」と呼ばれるスタンフォード大学にて、30年以上睡眠を研究してきましたが、その間、つねに実感していることがあります。それは、「睡眠とは味方にできれば最強の友であり、敵に回せば最悪な恐ろしい相手」だということ。研究すればするほど、痛感させられます。

よく「睡眠が足りていない」ことを、「睡眠不足」と言いますが、われわれ睡眠研究者は別の表現を使います。それは「睡眠負債」。すなわち、「眠りが足りていない」のは「借金」をしていることと同じで、返せないままでいると借金同様、利子がどんどん膨らみ、脳と体が「自己破産」してしまい、思うように働かなくなるのです。
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償 眠りの借金は寿命を縮め、肥満にもつながる
東洋経済オンライン