「眠いけれど食べたい体」で起きているホルモン変化

 睡眠不足のとき、やけに食欲が増すように感じられるのはどうしてか。このテーマで専門家に話を聞いている。

応じてくれたのは、埼玉県立大学准教授保健医療福祉学部で睡眠学などを専攻する有竹清夏(ありたけ・さやか)氏。「短時間睡眠のエネルギー消費、深部体温、食欲に与える影響」といった研究テーマで人間を対象とする実験を行い、早稲田大学の内田直(うちだ・すなお)教授(4月に定年退職)、花王の日比壮信(ひび・まさのぶ)主任研究員らと2017年1月に論文を発表した。

前篇では、睡眠不足になると食欲が増すなどの関係性が、世界の各研究で認められてきたことを確かめた。それとともに、有竹氏らが発表した研究成果の一部を聞いた。7時間睡眠と3.5時間睡眠では、被験者のエネルギー消費全体の量で有意差は見られなかったという。つまり「短時間睡眠者は起きている分、エネルギーがより多く消費されるため食欲が増す」という論は成り立たないことになる。

では、睡眠不足の人の体には、どんなことが起きているのだろうか。引き続き、有竹氏に話を聞いた。
「眠いけれど食べたい体」で起きているホルモン変化